4月の御講席でご供養をいただきながら雑談をしていると、92歳になる坂本さんが「今年もヘチマを植えました」とのこと。今年はヘチマの苗が中々見つからず、庄内中の植木屋さんを自転車で回ったがないので、三国まで買いに行ったとのこと。組内で最高齢の坂本さん、そのフットワークの軽さに一同「へーっ」と唖然。毎年、ご自宅の庭で植えられ秋にヘチマ水を取っては化粧水にして組内のご信者にお裾分け。「ヘチマの実は中国人や沖縄の人は好んで食べられるし、もちろんタワシにもなる。実を収穫して秋口にツルからヘチマ水をとれば1本のツルから一升瓶で7~8本はとれますよ。これを生成すると咳止めの薬にもなるし、アルコールを加えると化粧水にもなるのですよ。市販のものはほんの僅かしかヘチマ水が入っていませんが家庭で作ると純度が高く良い化粧水になるのですよ」と坂本さん。とても92歳には見えない坂本さんの肌つやを見て、一同、納得。
「坂本さんの元気な間にヘチマをお寺で植えて、化粧水の作り方を婦人会に教えて下さいよ」とご信者。早速、ご婦人方は口を揃えてお願いした。「ああ、いいですよ。おやすいご用です」と二つ返事で坂本さんはその場で返事された。
それから二日後のこと。「もう買ってきて総務部に渡しましたよ。場所を決めて貰ったら私が植えますから」と。御講の翌日に早速、自転車を飛ばして隣 町まで買いに行きお寺に持って来ていただいた。総丈、約5センチ位のカワイイ苗を三つ買ってきてくださった。ご婦人方は大喜び。どこからともなく「ヘチマ三兄弟」と命名された。植える場所は納骨堂の横手に決まり、坂本さんのご指導の下、壮年会が境内を耕しツルを巻き付ける垣もしつらえた。小さな苗には不似 合いの大きな垣だった。坂本さんは「肥やしもあげましょう。お供養で使い終わった出汁じゃこで良いのですよ」と、ヘチマの根元に出汁じゃこも仕込まれた。
しかるに3ヶ月後。大きな葉をたくわえ、かわいらしい黄色の花を付けて写真のように堂々たる姿に変身した。壁に沿わせた垣などは何処にあるのか判ら ない位に成長し、境内の周りにある3メートルの壁をよじ登り、隣家の物干し場までツルを伸ばしている。さらには体長40センチも超える大きな実をいくつもぶら下げている。
町では節電から「グリーン・カーテン」にゴーヤを推奨しているが、ヘチマの方が葉も大きく遮光性が高く、実やヘチマ水まで考えるとゴーヤの比ではない。「花は沢山付けますが、あだ花は取らないと実が大きくなりませんよ。適当に私がやっておきますよ」と坂本さん。夏期修行中、幾度となく三兄弟の話をご信者から耳にした。参詣ごとにその成長ぶりを見て楽しんでいただいたようである。
お月見ぐらいにツルを切って一升瓶を結わえてヘチマ水を取るそうである。「とらぬ○○○の皮算用」とばかりにご婦人方は、坂本さんの張りがあってシ ワが無く、きめが細かくて艶のある肌を我が物にできると、今からワクワクしているのである。坂本さんの肌の美しさはヘチマ水だけではないような気がするのだが…。(S・O)
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